私が初めて漢方薬を使ったのは20数年前の勤務医時代です。
その患者さんは数週間の微熱と咳嗽が続いていました。
胸部レントゲンより肺炎は否定されました。抗生物質は無効で
前に読んだことのあった漢方薬で小柴胡湯を処方しました。
すると数日後に解熱し咳嗽も止み完治しました。その効果の
素晴らしさに驚嘆し以後漢方の道に入り込むことになりました。
漢方薬は2000年ほど前に中国で出来ました。その当時は
感染症が猛威をふるっていたと考えられます。風邪に罹患し
それがこじれて肺炎となりやがては死に至ることが別段珍しいこと
ではなかったと思われます。その過程を記述したのが「傷寒論」という
漢方の有名な書物です。そこに書かれている漢方薬を現在も使っている
のですからなんとも不思議な話です。
さらに興味深いのはストレスに有効な漢方薬がいくつもあるということ
です。たとえば四逆散、加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蠣湯、香蘇散など
いくつもあります。その当時も家族内での不和、近所づきあいのいざこざ、仕事場での
人間関係など、いろいろなストレスにさらされていたと考えられます。
漢方薬によってそれが推察されるのです。いつの時代もストレスはつきもののようです。
このように漢方薬は風邪、ストレスを始めアレルギー、整形外科的疾患、癌に到るまで
幅広く適用が可能です。漢方薬は効きすぎることがなく程々に効くため
副作用が出にくく人間本来の治癒力を助ける薬です。
「過ぎたるはなお及ばざるが如し」が最良の薬なのです。
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